医療法人化するために

医療法人成り検討

医療法人成り検討のチェックシート

  • 課税所得が1,800万円以上である
  • 所得を分散できそうな家族がいる
  • 多額の生命保険をかけている
  • 厚生年金はたくさん払っても将来ちゃんともらえると思う
  • 医院の後継者がいる
  • 医院の売却に興味がある

3つ以上チェックがついた方は、医療法人成りをご検討されてみてはいかがでしょうか。

≪医療法人化を考える際の10個の注目点と7個の留意点≫

メリット1 法人税と所得税の税率の違いから税負担が軽減される
個人診療に対しては、所得額が増えるほど税率が高くなる累進課税方式の所得税が課せられるのに対し、医療法人は、税率がほぼ一定の法人税が課せられることになります。最高税率は、法人税の方が低いため、この税率の違いを上手に利用することで節税対策が可能となります。
メリット2 家族を役員に就任させることで所得分散を図れる
院長先生の所得を医療法人化に伴い、法人、理事長さらに家族である理事の給与に分散させて累進課税の税率を低下させることで効率的な節税を行うことができます。
メリット3 理事長(院長)の所得区分が「給与所得」になる
理事長(院長)の所得の区分が事業所得から「給与所得」になることによって給与所得控除という出費のあるなしに関わらない自動控除が適用され、節税が可能となります。
メリット4 退職金が支給できる
個人診療所では、勤続年数にかかわらず院長や専従者である院長の奥様に退職金を払っても経費になりませんが、医療法人では継続年数に応じた退職金を支給でき、適正額の範囲内であれば全額を経費にすることができます。
メリット5 生命保険料を経費にできる
個人診療所では、万が一に備えて生命保険に加入しても、その保険料は経費にならず、少額の控除が認められているにすぎないのに対し、医療法人では、定期保険であれば、その全額又は2分の1を経費にすることができます。
メリット6 社会的信用性が向上します。
医療法人になると社会的信用性が向上するため、優秀な人材が集まりやすくなる、金融機関からの融資が受けられやすくなるなどのメリットが生じます。
メリット7 医療法人は、介護老人保健施設等や複数の診療所等の開設が可能
個人診療所では、介護老人保健施設や訪問看護ステーションの開設ができないのに対し、医療法人ではそれらを開設することができます。また、個人診療所では、1か所しか診療所等を開設することができませんが、医療法人であれば複数の診療所等を開設することができます。
メリット8 社会保険診療報酬に対する源泉徴収がなくなる
医療法人の場合は、社会保険診療報酬に対する源泉徴収が行われない結果、その分資金繰りが楽になります。
メリット9 欠損金の繰越控除が9年間に(平成30年4月1日以降は10年間)
医療法人の赤字を欠損金といいますが、この欠損金については9年間(平成30年4月1日以後開始の事業年度に生じた欠損金は10年間)繰越控除ができます。なお、個人診療所の赤字(純損失)の場合は、3年間です。
メリット10 事業承継がスムーズに行える
個人診療所を相続、売買、贈与等によって承継する場合には、診療所の新規開設、既存診療所の廃止などの諸処の手続が必要となるため、承継手続がとても煩雑になります。これに対し、医療法人の場合には、社員の入退社、理事長(院長)等の役員の変更後に速やかに診療を開始することができるため、事業承継がスムーズに行えます。また、相続対策という点からみても医療法人の方が個人診療所よりメリットがあるといえます。
デメリット1 事業の制約
医療法人として行える事業に制約があります。診療と関係のない物品の売買やサービスの提供といった収益事業は、原則できません。
デメリット2 社会保険と厚生年金への加入義務が生じます
医療法人として行える事業に制約があります。診療と関係のない物品の売買やサービスの提供といった収益事業は、原則できません。
デメリット3 医療法人になると交際費の一部が経費にできない
例えば、出資金が1億円以下の医療法人の場合、原則として年800万円を超える部分の交際費は経費になりません。
デメリット4 利益(剰余金)の配当ができない
株式会社の場合には配当という形で利益が株主に還元されますが、医療法人の場合には営利性の否定という観点から出資者に利益を配当することができません。配当類似行為(事実上の利益の分配)とみされた場合には行政指導等の対象になります。

※持分ありの医療法人の場合には、利益が医療法人に留保される結果、相続財産としての出資持分の評価額が過大になるといった問題が生じる点を注意する必要があります。

デメリット5 小規模企業共済の解約
個人診療所時代に加入した小規模共済を解約する必要があります。
デメリット6 行政関連の手続が煩雑化します
毎年の都道府県に対する事業報告や各種提出に加え、管轄法務局に資産変更登記や理事長の変更登記を行う必要があります。
(これらの手続きを長期に怠っていた場合には、過料に処せられる場合があります。)
デメリット7 医療法人を簡単にやめることはできません
医療法人の場合には、地域医療の安定といった観点から事業の継続性が求められるため、個人的な事情でやめることができず、都道府県の認可が必要になります。

≪医療法人の設立からクリニック開業までの一般的な流れ≫

※都道府県ごとにスケジュールが多少異なる場合があります

①都道府県の担当課にて医療法人設立認可申請手続に係るスケジュールを確認

②説明会に参加 ※参加が必須の都道府県もあります

③必要書類の作成 各都道府県で発行している「医療法人設立の手引」を参考に作成

④設立社員総会の開催

⑤医療法人設立認可申請書類一式を提出 (仮申請・素案)提出

⑥設立認可申請書の審査(事前審査)

⑦医療法人設立認可申請の本申請

都道府県医療審議会への諮問及び答申

⑧設立認可書の交付

⑨医療法人の設立登記申請

設立登記の完了をもって医療法人が設立されます

⑩設立登記完了後に設立登記完了届を都道府県に提出

⑪管轄保健所に対する診療所の開設許可申請

許可書の取得

⑫診療所の開設届提出(個人診療所の廃止届も併せて提出)

税務署・社会保険事務所等の諸官庁への届出

⑬管轄の厚生局に保険医療機関指定申請

⑭管轄の厚生局に施設基準の届出を提出

⑮その他の届出を提出

①~⑮の手続が完了するまでにおよそ8~10カ月程度の期間がかかります。